August 18, 2006

プラハで太陽系が変わる歴史的瞬間

83bb8ef7.JPGチェコに戻ってもうすぐ2週間が経つ。チェコ語の感覚も復活してきた。

現在プラハにて、国際天文学連合の3年に一度の総会(学会)が、実に39年振りにプラハで開催されており、私を含め世界中の天文学者(約2500名)が集結している。中でも、今回の学会期間中に、「惑星」の定義が決議され、我々の太陽系が大きく変わる可能性ある。来週は世界中のマスコミがプラハにやってくるようで、国内外共に大騒ぎとなりそうだ。詳しくは以下を参照;
http://www.nao.ac.jp/nao_topics/data/000230.html


プラハ1プラハ2ティホブラーヘやケプラー、アインシュタインなど、古くから天文学と深い繋がりのあるプラハで、いにしえの宇宙の歴史が大きく塗り替えられるという、100年に一度あるかないかという歴史的瞬間(来週の金曜日午後2時) を正にプラハのその現場で迎えられることを、ドキドキ・ワクワクしながら待っている。

現地で配布されたIAU新聞で、その議案の詳細が記されていたので、以下簡単に紹介する。

- 我々の太陽系の惑星の定義が変わる。
Planet(惑星)と 新たな惑星 Pluton(冥王星族)に分けられる。

- 新しいPlanet(惑星)の定義とは?
* 星の周りを回る天体であること。
* 自重(self-gravity)で球形になることができるほど十分な質量を有すること。
 (質量が5x10^20 kg以上で、半径が800km以上をself-gravity objectとする)

※(ソラの考察)どこぞの新聞に「Pluton=冥王星族」という和名記述が早くもなされていたが、この和訳は学会正式名称でないので現段階では注意が必要である。Pultonが決まった後に和名を考えることになるであろう。

- 上述の定義により現在の太陽系が変わる
水金地火木土天海が従来の惑星にあたり、Pluto(冥王星), カロン(Charon), 2003UB313が冥王星族になる。もう一つは、Ceres(セレス)で、dwalf planetに定義される。

- dwalf planetって何よ?
水星よりも小さい全ての惑星にあてはまる非公式名称(non IAU定義)

- plutonって何よ?
惑星の新しいカテゴリーで、IAUで正式に定義される。より具体的には、「hydrostatic equilibrium shape in the presence of self-gravity」。冥王星は、古典的な”惑星”の定義からは外れることになるが、新たな定義で復活する”惑星”である。Pultonは、大きな軌道傾斜角と離心率をもつ惑星である。

- Ceresは惑星なの?
はい。1801年に見つかったセレスは、発見当時から”惑星”の定義を満たす惑星だったのです。

※(ソラの考察)セレスは、hydrostaticを満たす、十分な天体まで成長した立派な「惑星」であるという認識がされている。一方、他の小惑星は、その条件を満たしていないので、セレスのみが小惑星から惑星に栄転することに関しては、物理的解釈からも異論はないはずである。

- Ceresは plutonじゃないの?
いいえ、pultonじゃありません。

- どうして2003UB313が惑星に成れるの?
最近のハッブル宇宙望遠鏡の観測により、2003UB313は、冥王星よりも大きいことが分かり、密度、質量、大きさともに惑星の定義をみたす新しい惑星です。

- 2003UB313は plutonなの?
はい、そうです。

- Charonはどうして惑星に成れるの?
共通重心が惑星の内部にあるというのが衛星で、カロンの場合、共通重心は惑星(冥王星)の外部にあるので、冥王星とカロンは二重惑星で共に惑星になれるのです。

※(ソラの考察)この解釈は、物理的には非常に正確な表現である。しかし、精密な物理観測があって初めて惑星か否かが決められるので、特に遠方天体に関しては、すぐに答えが出ないという曖昧な状況が続く可能性がありうる。この定義と観測の隔たりに関しては、IAU委員も惑星決定の困難さを認めている。

-その他の小さな太陽系天体はなんて呼べばいいの?
「small Solar System bodies」って呼びます。この呼び名は、従来の「彗星(comets)、小惑星(asteroids)」を含む名称です。NEOや、Trojan,TNO,Centaursも含まれます。

- 「minor planet」の呼び名は依然使われるの?
いいえ、もう使いません。もはや、惑星と惑星でない天体の区別が明瞭になったからです。

- 超巨大天体が見つかった場合はどうなるの?
IAUでは、太陽系の惑星の lower limitを定義しただけなので、upper limitについては、例えば brown dwarfが見つかった場合については、現段階のIAUの定義はありません。

※(ソラの考察)これまで木星の13倍以上の質量をbrown dwarf(褐色矮星)として学会では通常使われているのだが、実はこの定義はIAUで承認されていない非公式なものだそうだ。木星質量の13倍は、リチウムに火がつく臨界点で、系外惑星委員会から提唱された案に過ぎない。いずれにしても、今回の太陽系の定義では、upper limitに関しては何ら議論は行われない。

- 新しい惑星の定義を満たす天体が新たに見つかった場合は、太陽系の惑星が増えるの?
はい、増えます。

- 質量や大きさでは惑星を満たすが、いわゆる free floating(浮遊惑星)の場合はどうなるの?
惑星にはなれません。

以上。

andromedayaki at 18:41│Comments(0)宇宙・天文・気象・自然科学 

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