October 15, 2007

ジャンダルム

ジャンダルム数年前に穂高で出会った写真家(中村史氏)に頂いたジャンダルムの夕景 詳しくは、写真集「穂高連峰とジャンダルム」に掲載。

「どうして山に登るのか?」と聞かれ、「そこに山があるからだ!」と答えたのは、有名な登山家マロニーの言葉である。

「どうして山に登るのか?」と聞かれ、「そこに山があるからじゃない。ここに、俺がいるからだ!」と答えたのは、「神々の山嶺」の夢枕獏。

「どうして山に登るのか?」と聞かれたら、僕は何と答えるだろう。
まあ、上記の方々とはレベルが余りにも違いすぎるので、同列の言葉を並べることはできないが、「非日常で自分を試すため」とでも答えるだろうか。

日常生活から離れ、孤独な状況で物思いに耽ることを求め(実際、そんな肉体的な余裕すら無くなるのだが)、非日常的な山へ身を投じる。敢えて重い荷を背負い、重力に逆らって険しい縦走路を登ることは、ある意味自虐的行為だが、達成感という至極の快感を得られる。

「山」を「宇宙探査」に置き換えても同じような達成感がある。

まあ、いろんな期待をしながら、秋の山に登った訳である。
3千メートル級は、昨秋に登ったスロベニアの最高峰「トリグラフ(Triglav)」以来である。
(新穂高→西穂独標識ー西穂高ー赤石岳ー間ノ岳ージャンダルムー奥穂高ー涸沢→上高地)

「ジャンダルム」、なんていい響きだろう。最前線を開拓するパイオニアに相応しい険しい岩山だ。西穂山荘を出発して約6-7時間を経てようやくその岩山の上を制した。誰もいないそこからの景色は最高だった。天に突き刺す槍ヶ岳(3180m)と視線を並べ、日本で第三の高峰・奥穂高(3190m)の山頂もすぐそこに見え、山頂に大挙する登山者達の熱い視線すら感じる。

ジャン2槍ヶ岳



ジャンダルム(フランス語で憲兵。転じて前衛峰の意)は、奥穂高岳西部にある岩稜であり、標高は3163m。西穂高岳との縦走路途上にある。 大きく天を突く特異な形から山岳写真の被写体としてよく選ばれる。また、ジャンダルムを登ることはザイル等の登攀器具を使わない一般登山としては本格的な経験・技術が求められる。



ジャンダルムからの下りの道を間違えて、垂直の崖を途中まで降りてしまった小生は、ザイル無しでは進めないということに気がつき、何とか登り返して再びジャンの頂上へ戻った(次回はザイルがあれば、反対側に降りられそう)。結局、登山道が巻いていることを知り、ジャンをあとにした。ナイフリッジと鎖が足れる垂直の壁をよじ登り、ロバの耳を越え、ジャンを横から見つめるピークに辿り着いた小生は、極度に疲労困憊した体を横たえた。遠くに槍、真横にジャンの絶景の中で寝た。

30分ほどすると、身軽なおじさんが奥穂の方からスタコラとやってきた。片手には、ペンタックスの6x7と55mmレンズを持っている。気さくなおじさんと僕は、暫く、ジャンダルムの話題に花を咲かせた。小生が西穂から来たというと、「そりゃー頑張った!」と酷く褒めてくれた。涸沢にテントを張っていて、ここまで写真を撮りにきたそのおじさんは、定年後に山(特にジャンの写真)を楽しむ地元(諏訪)の方だった。おじさん情報によると、涸沢でテントを張るよりは、上(穂高山荘)に居た方がいいというので、小生は予定を変更して、今宵のテントを穂高岳山荘上部に張ることにしたのである。

そのおやじさんの背中を追って馬ノ背を越え、奥穂高までごいっしょした。そこでお別れしたのだが、翌日そのおやじさんとは、涸沢から上高地へ下るパノラマコースの稜線で再会。これはもう何かの縁ということで、名刺を差し上げた。後日必ず写真を送ってくれると約束してくれた。孤独を求めて山に来た小生だが、こういう出会いはとっても嬉しい。

天の川1天の川2


その夜、皆が寝静まった頃にテントから起き出して、ジャンの上に被さる銀河を楽しんだ。(左:西穂山荘テント場からの天の川。右:穂高山荘へリポートからの天の川)



瞬き一つの間の一生、僕たちはみんな一瞬の星、

瞬きもせずに息をする事さえ惜しむかのように求め合う



明けの明星御来光とマイテント

下山途中の涸沢の紅葉は、今年はまだ少し早かったが、それでも十分に秋の景色を堪能できた。


涸沢




中畠新道分岐から奥又白池への険しい悪路を見上げると、「氷壁」を登って行った彼らの闘志を思い起す。「氷壁」の舞台となった徳沢園は、多くのテントで賑わっていた。再び日常に戻ってきた。


上高地

andromedayaki at 18:13│Comments(3)TrackBack(0)宇宙・天文・気象・自然科学 

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この記事へのコメント

1. Posted by nanahasi   December 12, 2007 23:22
天野川は そんな風に見えるんですね。見てみたいたいです。添えられている言葉も素敵です。
2. Posted by ソラ   December 27, 2007 10:53
ありがとうございます。
天の川を見ると、浮き世の出来事がちっぽけに感じます。
3. Posted by nanahasi   March 19, 2008 03:52
カナダ・ホワイトホースにて天の川、見ました!ほんとに自分の生きる日々や頭をよぎる様々な事、或いはこの世の全てをその瞬間“ちっぽけ”だと感じましたね。忘れられない光景になりました。

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