September 13, 2008

LHC-ブラックホールの考察-地球を救え-

欧州原子核研究機構CERN(欧州原子核研究機構)がスイス・ジュネーブ郊外にフランスとの国境をまたいで設置した世界最大の衝突型加速器「大型ハドロン衝突型加速器(Large Hadron Collider; LHC)」が2008年9月10日に稼動開始。

blackhole2
LHCは7TeVまで加速した陽子を正面衝突させることが可能な世界最大の衝突型円型加速器。副産物で生成される可能性があるブラックホールを物理的に考察してみる。

自殺者まで出たそうだが,こんなことにはならないことを祈る↓^^;


7TeV(テラ電子ボルト; テェヴ=7E12eV)は温度に換算すると, 1eV=11604 K(約1万度)なので, 10兆京度(10^17度)ほど。これは, ジュールに換算すると「0.016ジュール」, カロリーだと0.07カロリー。つまり,0.07グラムの水を1℃温めるエネルギーに過ぎない。こんな極小エネルギーなので,例えブラックホールが出来たとしても影響はないはず。

ブラックホールが生成されても,ホーキング博士の理論(ホーキング放射; Bekenstein-Hawking radiation)により, 陽子質量ぐらいの微小なブラックホールではこのホーキング輻射が卓越していて, 加速度的に質量とエネルギーを瞬時に失い消滅する。いわゆる「ブラックホール蒸発」。その時間を見積ってみる;

Blackhole1

ブラックホールは,ホーキング輻射理論により, あたかも温度Tの黒体のように振る舞うので, ブッラクホール放射は温度Tで次のように表せる;


T = h' c^3 / (8πkGM)
h' = h/2π=1.054571628e-34 J s: プランク定数
c = 2.99792458e8 m/s: 光速
k = 1.3806504 e-23 J/K: ボルツマン定数
G = 6.67428e-11 m3/kg/s2: 重力定数
M : 質量

回転していない質量Mのブラックホールの大きさは, シュバルツシルド半径 r = 2GM/c^2 で表せるので, ステファン・ボルツマンの法則(P=AεσT^4)を適応し,
A: ブラックホールの表面積
ε: 放射係数 = 1.0 (完全黒体)
σ = 5.670400e-8 J/s/m2/K4: ボルツマン定数

ブラックホールからのエネルギー放射量Pは次のように求まる;

P = 4πr^2 εσT^4 = 1/15360 x hc^6/(πG^2M^2)

太陽質量(M=2x10^30 kg)のブラックホールの場合, P=10^-28 ワットと極めて小さい放射しかしない。一方, 陽子質量(M=1.67262e-27kg)では, 1.28 x 10^86 ワット。これは,東京都の10^79年分の電力消費量に相当する。もちろん,放射時間が非常に短いため,このエネルギーの恩恵には残念ながら預かれない。

上式とアインシュタインの質量とエネルギの式: E=Mc^2 より, ブラックホールの消失までの時間tは,次式で表せる。

t=5120πG^2M^3/(hc^4) 秒

陽子の場合;
t = 3.9 x 10^-97 秒 = 1.2 x 10^-104 年


これは,光速でさえたった 1 x 10^-87 cmも進むことしかできない極短時間でブラックホールが蒸発することを意味する。

ちなみに太陽がブラックホールになったとすると,
t = 2 x 10^67 年 >> 宇宙年齢(1.37 x 10^10年)

宇宙年齢(137億年)よりも 10^57年も寿命が長い(なかなか蒸発しない)ことになる。計算結果を分かりやすく図にしてみた。Blackhole_lifetime

ゆえに, 例えLHCの陽子衝突実験でブラックホールが生成されたとしても, 瞬時にして消滅するので全く影響はない。

むしろ,それは新たな科学の発見であってワクワクするよね。

ちなみにホーキング博士は,
「理論上はLHCの加速器を使えば、ヒッグス粒子の検出を行うことができることとなるわけだが、仮にLHCでヒッグス粒子の検出ができなかった場合、これまでの理論的枠組みの何かが間違っていたこととなり、ヒッグス粒子の検出ができない方が、面白い結果を生み出すのではないかと考えている」とした上で「LHCではヒッグス粒子の検出はできない方に100ドルを賭けたい。LHCでブラックホールが出来る可能性は1%以下だ
とBBCラジオ番組で発言している。

たった100ドルぽっちしか掛けていないので, ヒッグス粒子は受かる可能性大ってことだな?

(小生の専門は太陽系なので<--言い訳)以上の見積もりには,一切の責任を負いませんので悪しからず。
(地球が無くなるような大きな間違いはないことは確か)

andromedayaki at 17:21│Comments(2)TrackBack(0)宇宙・天文・気象・自然科学 

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この記事へのコメント

1. Posted by nanahasi   September 18, 2008 14:46
ソラさん、こんばんは。(地球が無くなるような・・)の最後の一文だけ理解できました。何も知らずに自分は生きているんだなと今回も実感。。ハワイには”スバル”があるそうで、たくさんの星が肉眼でも見えるのでしょうね。バンクーバーのソラには瞬く星があまり見えません。。
2. Posted by ソラ   September 18, 2008 19:08
nanahasiさんこんにちは。

ハワイは常夏と言われていますが,秋の気配が感じられるようになりました。僕らが現在取り組む望遠鏡は,スバルがるハワイ島ではなくて,マウイ島のハレアカラ天文台にあります。

バンクーバは,やはりオーロラでしょうか?

では,また。

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