December 19, 2008

超小型衛星・台湾上陸?

今日は、東京大学の中須賀教授が中央大學の大空所で講演されたので、天文所のコロキウムをさぼって、出席してきた。

中須賀さんと言えば、日本の超小型衛星のパイオニアとして有名。
http://www.jaxa.jp/article/interview/vol25/index_j.html

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中須賀真一さんと言えば、日本の超小型衛星のパイオニアとして有名である。超小型衛星(nano Satellite)とは、重さが1kg以下の衛星。制作コストも時間も、打ち上げ費用も全て超安価な次世代の衛星だ(参照; JAXA宇宙航空研究開発機構インタビュー「中須賀真一〜超小型衛星による宇宙開発への挑戦〜」)。講演後は、台湾の学生からも質問が飛び交い、随分と興味を持っているようだった。電脳王国・台灣なら、超小型衛星や搭載機器の制作は、まさに打ってつけの學生プロジェクトのような気がする。

教授陣が中須賀さんと晩飯を食べると聞いたので、ご同行させて頂いた。台湾人は客人をもてなすのが得意なので、必ず豪華で美味いものが待っている (客人と客人をもてなす我々の分も全て大學が支払うので、金銭の心配も無用)。大空所の所長の車で到着したのは、「中壢・麗宴」。結婚式披露宴と、ビュッフェ・レストランがある超大型の施設で食べ放題。台灣のビュッフェは初めてだったが、デザートに至まで品揃えが凄まじく多く、そこそこ味も良いのに驚いた。

さて、中須賀さんとは、初めてお会いしたが、実は意外な繫がりが幾つかあることが分かった。

  • 2003年にロシアのロケット「ロコット」で打ち上げられた中須賀研一号機の「VI-IV(サイ4)」といっしょに、チェコ初の衛星「MIMOSA」も打ち上げられた。現場で中須賀さんといっしょに作業をしていたチェコ人のラデック・プレスティーと小生は、2003-2005年のチェコ滞在時には毎週いっしょにサッカーをして、ビール飲む仲間だったので、サイIVのことなどは聞いていた。また、小生がチェコにいる時に、中須賀研の超小型衛星の利用に関するアンケート調査に応えて、「キューブサット物語」をチェコに送って頂いたこともある。

  • 2005年に神戸大に着任するため日本に帰国した小生は、半年間も家が無く、JAXA宇宙科学研究本部(ISAS)に寝泊まりしながら、小惑星探査機 「はやぶさ」の運用とデータ解析に明け暮れた。中須賀研でサイIVの学生プロマネだった津田さんは、ちょうど宇宙研の助手に着任したばかりで、「はやぶさ」ミッションでいっしょに戦った同士である。

  • 中須賀さんが現在取り組んでいるミッションのnano-JASMIN計画の天文台側の中核人物の矢野太平氏は、小生が天文台時代に同じプレハブで、色々と悪さをしていた仲だった。

  • 打ち上げ失敗の苦難を乗り越え、超小型衛星を成功させた日大・航空宇宙の小型衛星「SEEDS」の担当者の宮崎さんと小生も古くからの付き合い。小生が日大・航空宇宙在学時に留年した時に(JunkStage記事参照)、日大に赴任してきて以来の知り合いで、今でも時々お会いする。SEEDSは今春、インドから無事に打ち上がった。

  • 今回、中須賀さんの講演を企画された大空所 の小山孝一郎客員教授(元・宇宙研教授)は、2001-2003年の小生の宇宙研時代に、宇宙科学研究所・高校生体験学習プログラム「君が作る宇宙ミッション(きみっしょん)」の立ち上げを、全面サポートして頂いた(現在でも「きみっしょん」は宇宙研で継続実施されている)。


中須賀さんは、とっても気さくな情熱人。超小型衛星を通じて學生が学ぶマネージメントは、「Time, Human Resources, Cost, and Risk」。基本的に、宇宙研(ISAS/JAXA)のミッションで行われているマネージメントと同じである。超小型(安価)だからこそ、失敗も許されるので、學生を鍛えるのには最適なのだそうだ。実際に、そこから巣だって、大型ミッションの世界へ羽ばたいて行った学生達がいるので、成功している証拠だろう。どうやって學生をトレーングしているのか聞いてみたところ、学部2回生の時に3ヶ月間の実習。3回生の時に空き缶を使った衛星Cansatで修行を積み、更にその中から選抜された學生が実際に宇宙へ行く超小型衛星プロジェクトに関わる卒業研究に着手する。修士や博士課程の學生が、下の面倒も見るというフィードバックもうまく働いているので、研究室の資質が受け継がれているそうだ。2〜3年で卒業&就職で入れ替わるため、この期間で完結するミッションという意味でも、超小型衛星は教育の目的を果たしているとのこと。現在は、教育だけでなく、別会社「空庵」も立ち上げてジュース缶サイズの衛星のバス系の販売も行っている。また、来月には、20cm角サイズのPRISM望遠鏡の打ち上げや(プリズムという名前だが分光器は積んでいない)、国立天文台との協力で製作中の位置天文衛星の小型版「nano-JASMINE」や、宇宙で多目的の風呂敷を広げる風呂敷衛星などの設計も行っている。とにかく、色んな構想を打ち立てて、それを実行しているところが説得力もあり素晴らしいと思う。そういえば、超小型衛星のOSに「iTRON」を使っているとのことだが、これって、あの「トロン」の進化型OS?

個人的には、流星群や大火球をモニタするCansatを複数打ち上げて、地球へ落下する宇宙物質を全地球規模でモニターできたら面白いと考えている。現在、我々(代表; NASA/SETIのピーター・ジェニスキンズ博士)は、ASIMA(ASteroid IMpact Analyzer)という低軌道衛星計画をNASAに提出したところだ。メインベルト小惑星、短周期彗星、エッジワースカーパーベルト、オールト雲など、太陽系の各所から地球軌道へ飛来する小天体(彗星や小惑星)から放出されたダストを調べ、その天体に直接行かなくても地球大気に突入するダスト(微小隕石)の流星発光を調べることで、飛来した物質(有機物・炭素や金属化合物)を調べることができるというのがコンセプト。いわば、地球大気を巨大な望遠鏡にみたてて、宇宙から地球を見下ろしながら天体観測を行う。しかし、ASIMAは、分光に特化しており、全地球をモニタできる訳ではない。隕石になるような大火球(ボライド)をモニターする空き缶衛星「流星観測Cansat編隊」を組めれば、科学的な価値を十分に引き出せるアイデアは既にある。学生を指導する前に、小生の中国語能力を磨く必要もあるが。。。

中須賀さんは、既に台灣をなかり満喫されたそうで、初来台の氏曰く「台灣・最高!!」と大満足のご様子だった。明日の帰国のため、台灣新幹線で台北へ戻られた。今回は、研究・開発の話はできなかったので、今度、中須賀研(あるいは台灣)でゆっくりと相談させて頂く機会があると嬉しい。またの来台を心よりお待ちしています!

andromedayaki at 22:21│Comments(0)TrackBack(0)

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