台湾

September 21, 2012

反日デモの真相 ~ IAU国際天文学連合・北京総会にて

反日デモの真相 ~ IAU国際天文学連合・北京総会にて | 星空の旅人
(JunkStage記事のデュープリケート)


8月末から9月初めに2週間近く北京に滞在した。中国で初めて開催された「国際天文学連合(IAU)総会」に参加するためである。会場は、オリンピック公園の横にある「China National Convention Center (CNCC 国家会议中心) 」であった。小生は、故楼大街という下町にある中華式の安宿に宿泊し、毎日地下鉄を3回も乗り換えて、50分近く掛けて会場に通った。Google Mapに騙されて、オリンピック会場への直通地下鉄が開通していなかったからだが、かえって庶民の暮らしを毎日観察することができた。

前回北京に来た2006年と比べると、街も人も物価も大きく変わったと感じた。地下鉄やビル群などのインフラが大きく整備された他に、地下鉄やバスに乗車する「人々の整然とした列」ができていたのには驚いた。車両が満員に近づくと乗車を止めて次の地下鉄を待ち、地下鉄の中で下車する際には前の人に必ず「下車嗎?」と聞く。オリンピックを間近に控えた2006年の北京は、街の至る所が工事中であり、交差点の交通ルールは無きに等しく、バス停や駅で人々は、我先にと列に割り込んでくる戦争状態だった。オリンピックを経て、人々も社会的に教育されたのだろう。物価も台北で過ごす感覚とほぼ同じで、6年前の数倍の物価になったのではないだろうか。車内で多くの若者がスマホに没頭する光景は、日本や台湾と変わらない。天気は滞在中ほぼ晴れていたが、濃霧かと疑う「スモッグ」が何日も続いた。これは有毒スモッグで、特に降雨には絶対あたらないようにと注意された。学会からの配布物に、立派な折りたたみ傘が入っていたのもうなずける。

滞在中も日本大使館前のデモは行われていたが、街中やレストランで日本人だと分かっても、不快な目に会うことは一度も無く、むしろ地元の中国人らは親切だった。北京天文館プラネタリウムでは、小生は招待講師として「探査機はやぶさ(日本大空舟隼号)」の一般講演を行い(台湾中国語と英語を北京語に逐次通訳)、50名程の北京の聴衆からは歓迎され、天文館館長からは「いつでも北京に来たときは大歓迎で、無料でプラネタリウムにも招待するよ」と握手。(賄賂ではない)お土産もたくさん頂いた。

一方、TVでは終日、反日番組や映画・ドラマが放映されていた。こんな刷り込み番組を子供の時から見ていたら、日本人を嫌いになるのは当然だろう。中国滞在中は、北京在住の日本人の友人Nとも久々に再会し、いろいろと案内して頂いた。彼は小生の所属する台湾國立中央大學から北京大学へ2年前に異動した地球電磁気学専門のポスドク研究者だ。上海で同じくポスドクをしている天文学の後輩Hと同様、現地の安月給で中国人らに混じって粛々と成果を出し続けている「侍・日本人」である。友人Nとは、連絡を取り続けているが、彼のいる北京市内の北西地区では、相変わらず日本人への差別も無く、現地の知識人らはデモを冷やかに見ているようだ。

今回の反日デモは派閥争いが背景にあり、「反日」は利用されているということを、見抜いている中国人も多いのだろう。被害状況だけをクローズアップして「中国人悪」のイメージを植え付けるだけの報道を行う日本のマスコミも、中国での「日本鬼子(日本人悪魔)」の報道と同レベルであり、対立を煽るだけである。水面下にある真相こそ報道すべきだ。デモは、ネットやツイッター(微博)で呼び掛けられて集まったのではなく、バスがチャーターされ、Tシャツや横断幕が配られた組織的な「やらせデモ」なのである。北京・日本大使館前で行われているデモも、日雇いでやらせているという話を、北京在住の複数筋からも聞いた。ちなみに、北京からはTwitter、Facebook、Youtubeなどには接続できない(接続できる時もある)。Google検索も挙動が変で、リンク先が操作されており、天安門事件などで検索を掛けると警告がでた。困ったのは、仕事の調べものでNASA/JPLサイトに繋ぐ必要があったが接続できなかった(これはNASAが接続を制限しているのだろう。結局、VNC台湾経由で対応)。

デモが暴徒化した場所(山東省(青島など)、湖南省、広東省など)は、共産党主義青年団(団派)が牛耳っている。破壊活動は、デモとは関係ない場所で発生しており、放火などの手際が良いことからプロの仕業と言われている。私服警官や私服軍人が暴徒の中心メンバーとして活躍している姿が、複数目撃されている。これらの暴徒化したデモは、団派(胡錦濤・李克強 一派)が上海派(次期総書記・習近平 一派)を揺さぶっている可能性として指摘されている。

日本人暴行事件も報じられていたが、これは公安の仕業である。ラーメンを頭から掛けるなど、わざとらしい事件を起こしている。もちろん、そういう場所に日本人が近づくと危ない。

特筆すべきは、暴徒化しているのは若者が多いということ。「蟻族(アリ族)」や「鼹鼠族(モグラ族)」と呼ばれる大学卒業後も仕事が無い暇な人種や、地方から都市に出稼ぎに出たが仕事がなくなった人種などが、反日デモを「野次馬的」に暴走させている。日本への批判が本音ではなく、共産党への不満が鬱散していると見るべきである。これは、中国で最も不景気である深圳のデモでは、日本の商社ではなく中国人民政府の庁舎が襲われていることに、その真意が伺える。

こういう輩は、政府から絶対悪として標的にすることを許された「日本」へ対するデモを理由に、日頃の鬱憤を晴らすが如く「犯罪行為」を行っている。また、団派がそれを煽動している。人民を尊重した毛沢東の写真を掲げているのは、もはや反日ではなく、政府批判を意味している。

これらの事象は全て「やらせデモ」の想定外の「暴動」だったはずである。今後、反日デモが繰り返されていけば、数年の間にその矛先は共産党へ向けられるだろう。

そもそも中国は多方面で国際紛争を抱えている。

  • 南シナ海では、フィリピン、ベトナムと開戦準備を進めている。

  • 対台湾へのミサイル配備は約2000基だが、台湾とは平衡状態。←今こそ、日本は台湾へ歩み寄る絶好のタイミング

  •  韓国ともめている水面下の島「蘇岩礁(離於島)」は、韓国が今年、軍事基地を作ってしまったら中国は最近になって黙ってしまった。


日本は、今の(反日デモ容認の姿勢を示した胡錦濤政権)中国に対してまともに対応する必要は無い。尖閣諸島には自衛隊を駐屯させれば良い。そうすれば、韓国が実行支配した離於島と同じく大人しくなるだろう。もちろん、軍事的冒険に出る可能性もあるが、そうしないと近いうちに尖閣諸島は中国に実行支配されてしまう。国有化してしまったので、これまで通りの「棚上げ(何もしない)」支配では、尖閣を守れなくなってしまったのだから、これは国の責任だ。日本が尖閣諸島を自力で防衛する姿勢を示さない限り、無人島ごときに米軍が日米安保条約を発動する訳がない。

さて、IAU国際会議中の小生の名札は、「China Taipei」という所属に勝手に書き換えられていた。学術分野でさえ「Taiwan」の名前を認めないのである。もちろん、小生は口頭講演の中では、どうどうと「Taiwan」の名前を使った。小生は、親しくしている素晴らしい中国人研究者らもいるし、彼らとは共同プロジェクトでいっしょに仕事もしている。少なくとも科学者としては、政治的な紛争を越えた付き合いを今後も続けていきたいと思っている。



対中融和路線をとる台湾・国民党が2008年に政権を取って以降、中国共産党は「中華民族」を合い言葉に、台湾との様々な融和政策を進めている。尖閣諸島は「台湾省」の一部だとして、中国は台湾の「釣魚島」運動を支持している。「台湾統一工作」として中国に利用されているということも、台湾国民に広く知らしめるべきだろう。一方、この状況の中、日本への歩み寄りの姿勢を見せる台湾・馬英九総統に、日本政府は真摯に対応し日台友好を加速させるべきだ。政治・経済、文化、科学技術などの幅広い分野での台湾と国際交流が、今後を左右する「鍵=突破口」になる可能性を秘めていると個人的には考えている。

 

日本統治時代の歴史的建造物に溢れた台湾は、近代史を学ぶのには最高の場所である。全ての修学旅行先も、中韓から中華民国・台湾へ!

 

以下、北京在住の日本人N氏のコメントを、N氏の許可を得て転載します。日系企業に雇われているのではなく、中国の大学研究機関に雇われている「日本人研究者」という特殊な立場からのコメントですので、日系企業で働く駐在員日本人とは異なる視点を有するかもしれません。むしろ、中国国民の目線に近い意見だと思います。
やはり柳条湖事件81周年の日は反日デモの規模がすごかったようですね。

しかしながら、北京大学の周辺は依然として”平然”としていました。僕自身もすっかり忘れていたくらいです。19日以降になってデモは小康状態になっているようですが日本大使館からは”用事がある時以外近づくな”とのメールが頻繁に来ています。

テレビを見て思ったのはデモに参加している人は貧困層の人々や定職に付けていないフリーターやニートっぽい人が多いということです。所謂、共産党政府の政策・政治に批判的な人々のようです。(いわずもがな、中国では公然と政府を批判すれば”国家転覆罪”で刑務所行きなので矛先を日本にしているというところでしょうか。)

また北京に住んでいて思うのは”日本を批判する暇があったら1元でも多く稼ぐために一生懸命働く”人々が大勢いるということです。”デモに参加する暇があったら働く!”という無言のオーラが街を歩いていてとても強く感じるということです。レストラン等の服務員が僕の中国語が変だと感じて”何人?”と聞いて”日本人”と僕が答えても過剰な反応は全くありません。

先週の日曜日に秀水街付近に用事があって行きましたが、あのあたりでさえデモの影響は全く有りませんでした。みなさんあくせく働いていました。北京の人もそんなに暇では有りませんし、日本の報道が”日本批判の嵐=中国全土・全国民がそう考えている”という構図を作り出しているように感じました。もちろん被害に有った日本人もいたようですが、それが全てではないということですね。

 



IAU・国際天文学連合会場、北京国家会議場。とにかくデカイ!



2008年北京五輪のメイン競技場だった北京国家体育場、通称「鳥の巣」



滞在した古風な中華式の宿。スタッフも皆親切だった。


会議のオープニングと総会の決議の様子。

会議の横断幕を掲げる小生の共同研究者ら(フィンランド人と中華/台湾系アメリカ人)。我々3人で3枚の(捨てられていた)ビニール横断幕を頂戴して持ち帰った。次回のIAUは、2015年にハワイ・ホノルルで開催されるので、持ち寄ってピクニック(potluck)のシートにする予定。


北京天文館。地元の高校教師や天文ファンを相手に講演を行った。


北京古観象台。1442年、明の時代に建設された世界で最も古い天文台の一つは、今では北京の高層ビル群に囲まれていた。


天下の北京大学の赤門。前を行く友人Nが通行証を見せて、小生はツレだと言って入校。


この夏から中国月探査プログラムが北京ビールの公式スポンサーになった。月面着陸の際は、きっと月面で北京ビールで祝杯をあげるのだろう。


万里の長城(八達稜)と天壇公園。中国の昔の人々はすごかったのだ。


天安門とセキュリティー・カメラの数々。街中のカメラの数もオリンピック前に比べれば圧倒的に増えた。



北京のタクシーは本当に捕まらない。道が分からないという言い訳?の乗車拒否もあり、昼間に5台捕まえてやっと乗れたりした。この日は、終電を逃してしまい、友人とタクシーを探したが捕まらず、仕方なく三輪タクシーに乗車。値段交渉したが、二人で20元(250円)とややぼられて乗車。シートベルトもないオンボロ三輪タクシー後部の箱の中で、幹線道路にこぼれ落ちそうに激しく揺られているときは、かなり怖かった。

 

追記、

今回は、中国語での会話がなんとかできるレベルだったが、北京語と台湾國語は発音がかなり違い、会話が成り立たなくなることもしばしば。なぜか、日に何度も通りすがりの民に道を聞かれたりもした。何処から来たのかと聞かれたときは「台湾からだ」と答え、台湾に住んでいる日本人じゃないのかと新秀水市場でしつこく聞かれた場面では(値引き交渉中だったので日本人とばれると不利)、「地球人だ」と答えて笑われその場を凌いだ。

 

一応ちゃんと仕事(学会招待講演、学会口頭発表、北京プラネでの招待講演、ビジネス会議など)の方も無事にこなした。

C-22(流星, 隕石, 惑星間空間塵)のプレジデントは、国立天文台・渡部潤一教授からSETI/NASA・P. ジェニスキンズ氏へ、C-20(太陽系小天体,彗星,衛星の位置と運動) はプレジデントは、JAXA/宇宙科学研究所・吉川真教授からNASA/JPLのS. R. チェスリー氏へ引き継がれた。渡部氏、吉川氏の推薦により、2012-2015 期のC-20、C-22のOrganizing Committeeには小生が選出された。また、C-22の流星群・命名委員会では、新しく観測されて申請された流星群を全て吟味して、承認できる流星群名を決定した(こちらの仕事は、その後小生は殆ど貢献していないので、これを期に(一時)退任させて頂いた)。近年、レーダー観測で昼間流星群が多数発見されたり、自動TV観測による新しい流星群の発見が多数報告されている。流星群と認められるには、基本的に (1) TV観測などで顕著で明白な流星群活動が捉えられること(流星数の制限は無い)。一度だけ、単独観測でも認定する(長周期彗星起源の1回帰ダスト・トレールの場合は1度だけの出現となる可能性があること。また、流星群の突発が、ある時間帯だけに集中する可能性があることから)、 (2) 電波観測の場合は、単独ではなく複数点の観測による確証が必要(或は単独&複数年も可? このあたりは P. ブラウン論文の例を参考)。

2006年 IAUプラハ(チェコ共和国)では、冥王星が惑星から降格し「準惑星」枠ができるという、侃々諤々のエキサイティングな総会であったが、2012年IAU北京の総会決議では、議論も異論もなく(議長が議論をしないでスルーした!)決議が行われてしまい、個人的には大変物足りなかった。太陽系に関する2つの新しい決定決議;





  • 従来のDivision は廃止され、「Division III」は、「Division F "Planetary Systems & Bioastronomy"」に統合。

  •  「International NEO (Near-Earth Objects) early warning systemの構築」。地球に衝突する可能性のある小惑星(PHOs)の早期発見と国際社会へのアナウンスを円滑に行うシステムを構築。NEOのビジネス・セッションで議論したが、NASA/JPLのチェスリーを中心に、我々で詳細をまとめてIAUへ報告文を提出することになった。このあたりは、アメリカ(NASA)とイタリア(Neodys)が主導することになるでしょう。




 

2012-2015期のIAUプレジデントには、国立天文台元台長・海部宣男名誉教授が選出された。次回IAUは2015年8/3-14にハワイ(ホノルル)で開催される。セッションに出るより、宇宙生命の起源を求めてビーチで過ごす時間の方が長くなりそうな予感....




andromedayaki at 15:40|PermalinkComments(0)TrackBack(0)
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